キチョウの雌雄型をゲット! 身近なところに発見あり

4月29日(祝)、とってもいいお天気でした。
Stay homeとはいっても、光や風に当たらないと、気が滅入りますね。
虫たちは、元気ですし。

今日は、職場の近く(兵庫県三田市)で、めずらしいものを見つけました。
雌雄型。わりと長い自分の人生で、初めてです!

色の濃さが左右でちがう

キチョウ(キタキチョウ)は、ごくふつうにいる、黄色いちょうちょです。

オスもメスも黄色いですが、オスは黄色が濃くて、メスは薄いです。
慣れてくれば、飛んでる姿を遠目に見ても、黄色の濃さで、オスかメスかが、わかります。

今日も、キチョウは、たくさん飛んでいました。
あれはオス、これはメス、と無意識のうちに確認しながら、ときどきアミに入れてみて、やっぱり傷んでるな・・・、とバイバイします。

でも、その中に、ちょっと変わった個体がいました。

このキチョウは、飛んでるときに、左右の翅の色の濃さがちがったので、ピンときました。

つかまえて、チャック袋に入れてみると、翅の大きさも左右で違うことがわかります。
雌雄型にまちがいありません。

袋から出して、撮影してみました。

右翅=オス面です。
左翅の方が一回り大きいです。そのため、右翅の背後に、左翅がはみ出しています。
ふつうは左右の大きさが同じなので、ぴったり重なるものです。

キチョウ雌雄型オス面

こちらは左翅=メス面です。斑紋は、左右ともあまり変わりません。

ちょっとですが、生きているときの動画もあります。

この動画で、飛んでるときでもわかる、という意味が、わかるかといわれると、ビミョーかもですね?

展翅してみると

キチョウは成虫越冬ですから、昨秋から、長い冬を乗り越えて、今日まで元気にすごしていたのですね。

でも、ここは、標本箱に収まってもらいましょう。

ということで、絞めまして、展翅したところです。

多少カスレが気になりますが、越冬後で、この季節ですから、状態は悪くないでしょう。

わかっていただけますでしょうか?
右翅がオス、左翅がメスです。

透かしてみないとわかりませんが、オス翅には、ちゃんと性標がありました。

コピペしてみました!

ようわからんがな、という人のために、ちょっとした遊びを。

上の展翅写真をコピペして左右反転し、雌雄型から、オスとメスをつくってみました。

ほ〜ら。オスっぽくなったでしょう。やっぱり右翅はオスですね。

ほーら。ふつうに、メスのキチョウになりました。
こうやってみると、左右の翅型も、ちゃんと、オスメスを反映していますね。メスの方がやや丸みを帯びています。

わかっていただけましたか?
わからない人は、修行してください。

えっ? もともとの展翅写真がコピペじゃないかって?

いえいえ。腹部を見てください。コピペってわかるように、修正せずそのままにしています。
待ち針の位置も。たまたまですが、紅白。

生きているときの写真や動画を撮っておいたのも、コピペじゃないよ!というためです。
今時、デジタル技術でなんでもありですから。

雌雄型を展翅するとき、左右の翅の大きさがちがうので、とくに後翅の開き具合の左右バランスに悩みましたが、コピペした画像を見ると、いい整形だったのだ、と自画自賛。


ところで、展翅テープは、チャック袋(ユニパック)をハサミで切って、使っています。
透明で、適度にやわらかくて、翅を傷めません。

最近自分は、三角紙の代わりにチャック袋を使っていますので、虫を入れてた袋が、そのまま展翅テープになります。
切るのが面倒といえば面倒ですが、展翅板にあわせて幅を自在に調節できて、便利ですよ。

この機会に、身近なところへ

昨日、たまたまお出会いしたしまおかさんパパは、「コロナ禍が、身近なところに目を向けるきっかけになった」と、おっしゃってました。

そうそう。虫とりは身の回りから、です。

身近なところにどんな虫がいるのか(いないのか)を熟知してはじめて、場所による虫の違いがわかり、その虫の生息環境がわかる。平たくいえば、虫の値打ちがわかるようになります。

図鑑に書いてあったから、ネットに出てたから、だれかが言ってたから、という知識も大切ですが、自分の経験としてわかる。
これ、重要なポイントですね。

みなさんも、こんなときだからこそ、身近なところで、いつもの虫さんと、遊んでください。

そうすることで、地域の昆虫相の特色を感じとれる、ナチュラリストとしての基礎が培われます。
たまには、思わぬ発見があるかもしれませんしね。


「キチョウ 雌雄型」とググると、「てんとうむし」の記事:木村(1981)兵庫県におけるキチョウについてがヒットしました。
同好会誌のPDF化、やってよかったです!