もふもふのトラツリアブ、10月がシーズンですよ。ハギやセイタカアワダチソウの花に注目!
2022年以後の情報
2023年
2023年も淡路島の同じポイントで発見されました。
いるところには、少ないながらも安定的にいるようです。
2022年
2022年も、2021年と同じく、10月に淡路島の同様の地域で、複数みつかりました。
いずれも、セイタカアワダチソウに来ていました。
セイタカアワダチソウは、外来種として毛嫌いされ、昭和の昔には「喘息の原因」という都市伝説もありましたが、秋の虫たちの蜜源として、非常に優秀です。
2022年10月の個体です(↓)。
発見時のイベントのようすは(↓)
以下、2021年の発見直後の記事です。
ビロウドツリアブみたいなのを秋にみつけたらトラツリアブですよ、と吉田浩史さんに教えてもらったのが前回の兵庫県版レッドデータブック改訂時、2012年でした。
それから10年。淡路島にいることがわかりました。
みなさんも、さがしてみてください。
Kidsスタッフの山本くん、お手柄です。
「昆虫大捜査線 in すもと」が、2021年10月16日(土)ウェルネスパーク五色(高田屋嘉兵衛公園)で開催されました。
この日が最後の残暑の中、午前の部、午後の部、各50人ほどが、虫とりをしまして、みんなでつかまえた虫は、69種、533匹。まずまずの成果です。
午後の部、Kidsスタッフデビューの山本明生くんが、ふわふわしたアブをつかまえてきました。
「これ、なんですか?」
「おお、これは! トラツリアブやないかい!!」
葉っぱの上にとまっていたそうです。
私は、現物をはじめて見ました。色あせたビロウドツリアブみたいですが、たしかに、かわいいかも。
スタッフの井嶋さんも
その日の夜です。スタッフの井嶋幸司さんから、メールを頂戴しました。
今回、研修会から本番まで、とても楽しい時間を過ごせました。
洲本の子たちとも顔見知りになれたことで、これからまた色々と繋がっていくのではとワクワクしています。
本当に有難うございました。別件ですが、トラツリアブの件で質問があります。
去年の秋にビロウド?と思い写真を撮っていたものを、トラツリアブは秋、という言葉で気になって、掘り出してみました。この虫は…もしかしてトラツリアブでしょうか?
井嶋幸司さん
はい。これもトラツリアブですね。
「要調査」のおかげ
さらに、ネット検索してみると、「覗川水系河川整備基本方針 環境に関する資料(案)」という、兵庫県河川審議会の資料が出てきました。
これって外に出ててええのかな、という気がしますけれど、こういう資料は、どんどん公開してほしいですね。
そこにあった記述が、以下のものです。
トラツリアブは、兵庫県版レッドデータブック2012で、「要調査種」とされました。
そのおかげで、このような情報が得られたということです。意義深いことです。
淡路島西海岸に、注目
ということで、淡路島からのトラツリアブ情報は、3つになりました。
- 洲本市五色町都志 2021年10月16日 ウェルネスパーク五色 高田屋嘉兵衛公園 山本明生採集
- 淡路市尾崎 2020年10月20日 井嶋幸司撮影
- 淡路市江井 覗川 2016年10月17-18日 (採集者不明)
地図にプロットすると、このようになります。
いずれも、淡路島中部の播磨灘側=西浦地域ですね。
ここに、きっと、何かがあるのでしょう!?
この地域は、最近「西海岸」と称され、観光施設が増えています。たぶん、そのことは関係ないでしょうね。
セイタカアワダチソウをチェック
この虫、どんな情報があるのかなとググってみると、「かわいい」と評されて、いろんなサイトに写真などが転載されているようですが、生活史や分布についての情報はほとんど出てきません。
つまり、観察例が少なく、ほとんど何もわかっていない。
成虫の発生期と、ビロウドツリアブと同様、花の蜜を吸うことはわかっています。
成虫は10 月上旬〜11月中旬に記録がある.訪花植物はセイタカアワダチソウ,フジバカマ,サワヒヨドリが記録されている.寄主は未知であるが,セグロイナゴの可能性が示唆されている.国内では愛知・三重・大阪・兵庫・岡山・ 山口・愛媛の各府県で記録がある ( 紺野・古田,2006;紺野ほか,2010).
吉田・八木(2012)「兵庫県の注目すべき双翅類」きべりはむし, 34 (2): 12-25
【現状】近年確実に本種がみられるのは,全国でも岡山県内の2箇所のみ ( 紺野ほか,2010).兵庫県では,神戸市で1991年に撮影された写真が唯一の確実な記録である ( 井上,1995; 吉田・紺野,2010).
近年、フジバカマを植栽してアサギマダラを誘致する活動が流行していますね。
フジバカマには、アサギマダラに限らず、いろんな虫がやってきます。トラツリアブも来てるかもしれませんよ。アサギマダラを撮影したら、いっしょに写ってるかもしれません。注目ください。
幼虫の生活史は、よくわかっていません。バッタの卵に寄生するのなら、資源量は広く豊富にあるはずですね。局地的な分布や個体数が少ない理由もよくわかりません。
あ、ときどき、勘違いしてる人がいますが、レアな種=絶滅危惧種ではありませんよ。
もともと観察例が少ないのだから、減少しているのかどうかもよくわからないし、どこで何してるのか、食べ物すらわからないのに、絶滅の恐れがあるのかどうか、判断のしようがありません。
必要なことは、その虫の分布や生活史に関する情報を、蓄積することです。
みなさんからの情報、お待ちしています!
淡路島だけでなく、瀬戸内側のみなさん、要調査です!!