「フッチー」は、「フチグロトゲエダシャク」の愛称です。
どんな虫なの?
フッチーは蛾の仲間です。蛾なのですが、活動するのは日中の明るい時間帯です。まだ冬枯れの残る、早春の短い期間にだけ成虫が出現します。
オスは、ふさふさした触角、毛深い体、日差しを受けて金・銀色に輝く翅を持ち、上品な雰囲気を漂わせています。セセリチョウよりちょっと大きいくらいです。飛翔は、セセリチョウのようにとても速いスピードです。
一方メスは、オスと全く異なります。翅が無く、飛ぶことができません。
その姿は、芋虫をぎゅっと縮めて、6本の脚を取りつけたような体をしています。体色は灰色~茶色の地味な色彩です。枯れたススキなどの茎につかまって、じっと静止している姿が見られます。
いつ頃見られるの?
兵庫県での出現時期のピークは、低地の河川敷の生息地では3月上旬~中旬頃、少し標高が高いスキー場の生息地では3月下旬頃です。ただし、その年の気温や雪解けの状態によって、出現時期は年によって変動すると思われます。
生息地を探せ! キーワードは、「荒れ地」?
兵庫県でフッチーが確認されているのは、今のところ県北部の但馬地方だけで、岸田川水系の河川敷や堤防と、神鍋高原のスキー場の周辺です。
いずれの生息地も、ススキやクズなどの大型の草が茂っている「荒れ地」のようなところで、どこにでもありそうな、ごくありふれた環境です。
「フッチー」情報大募集!
フッチーが見つかっているのは、上に書いたとおり、但馬地方だけです。しかも生息地は限られています。他にいる所はないのでしょうか?
そもそも但馬地方以外には生息地はないのでしょうか?
これまで知られている生息地は、「荒れ地」のようにありふれた環境です。
他の虫がほとんどいない早春の限られた時期にしか出現せず、晴れて気温が高く、風も強くない日にしか飛翔しないことも発見のハードルを高くしています。
是非、天気のいい日に、河川敷や堤防、道路わきや耕作地のまわりの荒れ地などでフッチーを探してみてください。
もっと知りたい方は、こちらを。
・フチグロトゲエダシャクの生態観察2019 きべりはむし 第42巻 第2号
・フチグロトゲエダシャクの神鍋高原からの記録 きべりはむし 第41巻 第2号
・兵庫県におけるフチグロトゲエダシャクの調査 きべりはむし 第34巻 第2号
・山地草原のフチグロトゲエダシャク 月刊むし No.578
・フチグロトゲエダシャク-山口県南西部における記録と生態 山口のむし No.11
(植田義輔)